通商法122条15%関税は7月期限まで残2ヶ月—延長 or 失効後シナリオと海外不動産投資家戦略

📌 結論を先に

2026年2月の最高裁IEEPA違憲判決を受け、トランプ大統領は通商法122条で15%関税を発動。150日期限は2026年7月下旬に到来し、議会延長承認の有無が次の分水嶺となります。米国際貿易裁判所5月7日判決でも違法判断が出る中、6月以降の関税政策行方と海外不動産投資家戦略を解説します。

2026年6月1日時点、トランプ関税は新たな転換点を迎えています。2月20日の米最高裁IEEPA違憲判決、2月24日の通商法122条への切り替え、5月7日のCIT(米国際貿易裁判所)違法判断、5月12日の米中90日関税合意——わずか3ヶ月で目まぐるしい展開が続いてきました。そして今、122条関税の150日期限は7月下旬に迫っています(出典:野村総合研究所/第一生命経済研究所/PwC Japan/ジェトロ)。

本記事では、現時点で残された期限と論点、延長承認 or 失効後シナリオ、海外不動産投資家が取るべき戦略を、PwC Japan・NRI・ジェトロ・大和総研の最新分析をもとに整理します。

2026年2-5月の関税政策ハイライト

  • 2026年2月20日:米最高裁、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税・フェンタニル関税を違憲判決
  • 2026年2月24日:トランプ大統領、通商法122条に基づく15%追加関税を発動
  • 中国向け関税変化:フェンタニル10%+相互10%(合計20%)→ 122条15%へ縮小
  • 2026年5月7日:米国際貿易裁判所(CIT)、122条関税も違法判断(差し止めは提訴2社+ワシントン州のみ・限定的)
  • 2026年5月12日:米中スイス協議、90日間の追加引き下げで合意(米145→30%、中125→10%)
  • 2026年7月下旬:通商法122条の150日期限到来予定

1974年通商法第122条は「巨額かつ重大な国際収支赤字への対処を目的として、大統領がいつでも150日間を限度に(議会の承認で延長可能)、15%を超えない範囲の関税を賦課することができる」と定めています(出典:ジェトロ/一般財団法人国際貿易投資研究所)。つまり、122条関税は時限措置であり、議会延長承認なしには7月下旬に自動失効します。

残された3つのシナリオ:6月以降の関税政策

シナリオA:議会延長承認で122条関税継続

共和党が上下両院で多数派の現状では、議会延長承認の可能性は否定できません。延長されれば、世界全体への15%関税が当面継続します。輸出依存度の高い日本企業(自動車・電子部品・機械類)には引き続き圧力となります。

シナリオB:CIT判決上訴審で違法確定→失効

連邦巡回控訴裁判所(CAFC)への上訴審でもCIT判決が支持されれば、122条関税は法的根拠を失い、7月期限到来と合わせて失効します。トランプ政権は別の法的根拠(通商拡大法232条・通商法301条等)への切り替えを検討する見通しです(出典:第一生命経済研究所 前田和馬)。

シナリオC:新たな関税スキームへ移行

232条(国家安全保障)・301条(不公正貿易慣行)・201条(セーフガード)など、議会承認の必要が緩い別根拠への切り替えが現実的な選択肢として浮上しています。これらは個別品目や国別に対応する関税で、122条のような「全世界15%」とは異なる構造になります。

日本経済への影響:3つの観点

① GDP押し下げ効果は縮小傾向

NRI(野村総合研究所)木内登英氏の試算では、関税率縮小により日本のGDP押し下げ効果は当初の-0.68%から-0.55%程度に縮小しています。米中90日関税合意もこの効果に貢献しています。日本経済を一気に失速させる可能性は低くなっています(出典:NRI 2026年5月)。

② 「政策の振れ幅」自体がリスク

2-5月のわずか3ヶ月で「IEEPA違憲→122条→CIT違法→米中合意」と政策が大きく揺れ動いた事実は、トランプ関税政策の不安定性を露呈しました。投資家にとっては、関税率の高低そのものより「予測不可能な政策変動」自体がリスクとなります。

③ 還付の行方も注目

第一生命経済研究所は「最高裁がトランプ関税に違憲判決~還付の行方は不透明~」として、過去に支払われた関税の還付請求の可能性を指摘しています。これが実現すれば、当時関税を負担した企業に巨額の還付が発生する可能性もあります(出典:第一生命経済研究所)。

海外不動産投資家視点:3つの戦略

戦略1:「政策ボラティリティ」を分散投資で吸収

関税政策が3ヶ月で大きく揺れ動く現状は、「米国一極集中」のリスクを露呈しました。米ドル建て海外不動産(カンボジア)は米国経済の動向と一定の相関がある一方、新興国実物資産として米国政策リスクからは独立した側面も持ちます。

戦略2:ASEAN受益シナリオは継続

関税率が縮小しても、「チャイナ・プラスワン」の構造的流れは継続しています。ベトナム2026年GDP成長率予測+7.2%(ADB)、カンボジア+6.1%(IMF)は、いずれも関税合意発表後の予測です。ASEAN諸国の不動産マーケットへの追い風は持続しています。

戦略3:「米ドル建て実物資産」の戦略的優位性

関税政策がどう変化しても、米ドルは世界の基軸通貨であり続けます。カンボジア不動産は米ドル建てで決済される稀有な新興国不動産です。当社で取り扱うキングストン・ロイヤル・UC 88・Le Condé・La Vista Oneはすべてプノンペン中心地の米ドル建て物件で、政策ボラティリティへの分散先として機能します。

今後の注目ポイント

  • 6月中旬:CAFC(連邦巡回控訴裁判所)上訴審の動向
  • 7月下旬:通商法122条150日期限到来・議会延長承認の有無
  • 8月中旬:米中90日関税合意の期限到来
  • 2026年下半期:新たな関税スキーム(232条・301条等)への切り替え

まとめ

  • 2-5月の3ヶ月で「IEEPA違憲→122条→CIT違法→米中合意」の劇的な展開
  • 通商法122条15%関税は2026年7月下旬に150日期限到来予定
  • シナリオA:議会延長承認、B:CIT判決上訴で失効、C:別の関税根拠に切り替え
  • 日本GDP押し下げは-0.68%→-0.55%に縮小、政策ボラティリティ自体がリスク
  • 海外不動産投資家は「政策分散」「ASEAN受益継続」「米ドル建て」の3戦略

よくある質問

通商法122条関税は7月で確実に失効しますか?

議会が延長を承認しなければ失効します。共和党が両院多数派のため延長承認の可能性も残り、CAFC上訴審の結果次第でも違法確定の可能性があります。複数のシナリオが残されています。

関税還付は本当に発生しますか?

第一生命経済研究所は「還付の行方は不透明」としています。違憲判決と関税還付請求は法的に別の論点で、実際の還付実施には別途行政・司法プロセスが必要です。確定情報ではありません。

日本企業はどう対応しているのですか?

米国生産シフトの加速、ASEAN・メキシコ等への製造拠点分散、価格転嫁の慎重判断など、企業ごとに対応が分かれます。短期的な業績影響は限定的でも、長期的な事業戦略の見直しが進んでいます。

海外不動産投資家として今すぐ取るべき行動は?

関税政策がどう変化しても、米ドル建て実物資産(カンボジア不動産)・利回り保証型物件(ベトナム)等の分散先は機能します。特定国・特定通貨に集中させないポートフォリオ設計が現実的です。当社では無料相談を承っています。

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参考資料

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の購入を勧誘・推奨するものではありません。経済情勢・関税制度・裁判所判決は記事公開時点(2026年6月1日)のものです。今後の上訴・行政発令により大きく変動する可能性があります。海外不動産投資にはカントリーリスク・為替リスク・法制度リスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

林 風之慎
AUTHOR
林 風之慎はやし かぜのしん
あじさいリアルエステート 代表取締役|元・野村證券

学生時代をアメリカで過ごしグローバルなビジネス感覚を培う。新卒で野村證券にて富裕層向け資産運用コンサルティングに従事。2026年より現職。カンボジア・ベトナムを中心とした東南アジア不動産投資の専門家。