📌 結論を先に
2026年5月7日、米国際貿易裁判所(CIT)はトランプ政権が2月に発動した「通商法122条10%関税」を違法と判断しました。差し止めは限定的ですが、7月中旬の期限到来と上訴審次第で関税政策は大転換の可能性。日本経済への影響と、海外不動産投資家が取るべき戦略を解説します。
2026年5月7日、米国際貿易裁判所(CIT)が下した「通商法122条10%関税は違法」との判決は、世界経済と日本企業に新たな波紋を広げています。2月の最高裁判決でIEEPA関税が違法とされた後、トランプ政権が代替として発動した10%追加関税ですが、これも法的に持たない可能性が出てきました(出典:日本経済新聞 2026年5月8日/第一生命経済研究所 2026年5月)。
本記事では、5月7日のCIT判決の意味、7月中旬の期限到来までのシナリオ、日本経済への影響、そして海外不動産投資家が今すぐ取るべき戦略を、ジェトロ・野村証券・第一生命経済研究所・PwC Japanの最新データをもとに解説します。

2026年5月7日、米国際貿易裁判所は何を判断した?
2026年5月7日、米国際貿易裁判所(Court of International Trade、以下CIT)は、トランプ政権が2月24日に発動した「通商法122条に基づく10%追加関税」について、大統領権限の逸脱で違法との判決を下しました(出典:日本経済新聞 2026年5月8日)。
ただし注目すべきは、CITが下した差し止め命令の範囲が限定的だった点です。本件で提訴した2社(民間企業)とワシントン州のみに差し止めが認められ、全米規模での122条関税停止は認められていません(出典:第一生命経済研究所 西濵徹 2026年5月)。事実上、122条関税は全国レベルでは継続している状況です。
- 2026年2月20日:米最高裁、IEEPA相互関税を違法判決
- 2026年2月24日:トランプ政権、通商法122条に基づく10%関税発動
- 2026年5月7日:CIT、122条10%関税も違法と判断(差し止めは限定的)
- 2026年7月中旬:122条関税の150日期限到来予定
なぜCIT判決は「決定打」にならない?トランプ政権の次の一手
5月7日のCIT判決を受けて、トランプ政権の次の一手は連邦巡回控訴裁判所(CAFC)への上訴が確実視されています(出典:第一生命経済研究所 2026年5月/ピクテ・ジャパン)。控訴審で覆される可能性もあり、最終的には最高裁判決まで法廷闘争が続く見通しです。
仮にCAFCでもCIT判決が支持された場合、トランプ政権はさらに別の法的根拠(通商拡大法232条や通商法301条など)を用いた関税賦課に切り替える可能性があります。野村証券の小清水直和氏は「トランプ政権の関税政策の見直しを迫られる可能性も」と指摘しており、関税政策の主役が今後変化する可能性が高まっています(出典:野村ウェルスタイル 2026年5月)。
もう一つの重要なポイントは、122条関税が「最長150日」「上限15%」という制約を持つ時限措置だということです。2月24日の発動から起算すると、2026年7月中旬には自動的に期限到来となります。議会の延長承認がなければ、上訴審の結果を待たずに122条関税は失効します(出典:Bloomberg 2026年2月)。

日本経済・企業への影響は?2026年下半期の見通し
① 短期的な影響は限定的
第一生命経済研究所の西濵徹氏は、5月7日のCIT判決について「短期的な影響は限定的」と分析しています(出典:第一生命経済研究所 2026年5月)。差し止めが提訴2社とワシントン州に限定されているため、日本企業を含む大多数の輸出企業は引き続き10%の追加関税を負担している状況です。
また、自動車関税については2025年7月の日米合意に基づき、9月4日から日本産自動車・自動車部品への追加関税率が引き下げられており、自動車セクターへの影響は緩和されています(出典:ジェトロ/経済産業省)。
② 7月中旬の期限到来が次の分水嶺
2026年7月中旬に122条関税の150日期限が到来します。議会延長承認がなければ自動失効、延長されれば法廷闘争継続という二択になります。野村総合研究所は「関税の悪影響は短期的には企業の収益縮小で吸収される」としつつ、「想定よりも時間をかけて表面化してくる可能性に留意が必要」と警告しています(出典:野村総合研究所 木内登英コラム 2026年2月)。
③ 経営者・投資家が直面する3つのリスク
- 政策の不確実性:上訴審の結果次第で関税政策が急変する可能性
- 新しい関税根拠の登場:232条・301条など別の法的根拠で関税が再発動される可能性
- 米中関係の再緊張:2025年10月の韓国首脳合意以降の平穏が崩れるリスク
海外不動産投資家が今すぐ取るべき3つの戦略
トランプ関税を巡る不確実性が長期化する中、海外不動産投資家が押さえるべき視点を3つに整理しました。
戦略1:「米国一極集中リスク」を実物資産で分散
関税政策のような政治リスクが短期間で大きく振れる現状は、特定国・特定通貨に資産を集中させるリスクを露呈させています。米国株や米ドル建てMMFだけで資産を組むのではなく、新興国の実物資産(不動産)に分散することが、不確実性に強いポートフォリオの基本となります。
戦略2:ASEAN諸国が「チャイナ・プラスワン」の受け皿に
米中対立の長期化は、製造業がチャイナ・プラスワンの動きを加速させる原動力となります。ベトナムは2026年のGDP成長率目標を10%以上と国会で決議し、アジア開発銀行はベトナムのGDP成長率を+7.2%とASEAN首位に予測しています(出典:ジェトロ/VIETJO)。カンボジアもIMF最新予測で6.1%とASEAN高成長グループに位置付けられています。
米国がチャイナとの貿易摩擦を続けるほど、ASEAN諸国が貿易・投資の代替地となる構図は過去のトランプ1期目から実証済みです。ASEAN都市部のコンドミニアム需要が今後さらに高まる可能性は十分にあります。

戦略3:米ドル建て不動産で「為替×実物資産」の二重ヘッジ
カンボジアは1992年以降、事実上の米ドル経済圏となっており、不動産取引・賃料収入・売却代金すべてが米ドル建てで決済される稀有な国です。トランプ関税のような政治リスクで世界経済が動揺する時、米ドル建ての実物資産は「為替分散×インフレヘッジ×実需」の三重防御を提供します。
当社で取り扱うキングストン・ロイヤル(プノンペン中心地・36階建て310戸)は米ドル建ての都市型コンドミニアム、Lynn Times Quang Binh(ベトナム・クアンチ省)はホテル運営型コンドテルで、それぞれ異なる通貨・需要構造を持ちます。両者をバランスよく組み合わせることで、トランプ政策の不確実性に左右されない資産形成が可能です。
2026年7月までに注目すべき3つのイベント
- 5月〜6月:トランプ政権の連邦巡回控訴裁判所(CAFC)への上訴と判決
- 7月中旬:通商法122条10%関税の150日期限到来。議会延長承認の有無が焦点
- 7月下旬以降:失効時の新たな関税スキーム(232条・301条等)の登場可能性
大和総研の佐藤光氏は「2026年もトランプ関税に翻弄される世界経済」と評し、関税問題は2026年を通じて常に不確実性要因となると指摘しています(出典:大和総研 2026年2月25日)。経営者・投資家としては、短期的な相場変動に一喜一憂せず、長期的な分散戦略を組み立てる視点が重要です。

まとめ
- 2026年5月7日、米国際貿易裁判所が通商法122条10%関税を違法判決。ただし差し止めは限定的
- トランプ政権はCAFCへ上訴の見込み。最終的には最高裁判決まで法廷闘争継続
- 122条関税は7月中旬に150日期限到来。議会延長承認の有無が次の分水嶺
- 日本経済への短期的影響は限定的だが、政策不確実性は長期化
- 海外不動産投資家は「米国一極集中リスクの分散」「ASEAN受益」「米ドル建て二重ヘッジ」の3戦略で対応
よくある質問
5月7日のCIT判決で関税はすぐに撤回されますか?
いいえ、撤回されません。差し止めは提訴した2社とワシントン州のみに限定されており、全米規模の差し止めは認められていません。日本企業を含む大多数の輸出企業は引き続き10%の追加関税を負担しています。
通商法122条関税は7月中旬に確実に失効しますか?
議会が延長を承認しなければ自動的に失効します。ただし上院・下院ともに共和党が多数派の現状では、延長承認の可能性も否定できません。CIT判決の上訴審結果も合わせて注目が必要です。
カンボジア不動産はトランプ関税の影響を受けますか?
カンボジアの不動産市場は、米中対立で「チャイナ・プラスワン」の受け皿として外資が流入する傾向があり、むしろ追い風となる可能性があります。米ドル建てで取引されるため、円安・関税という日本固有のリスクからも独立しています。
経営者として今すぐ取るべき行動は?
短期的な相場変動に一喜一憂せず、長期的な資産分散戦略を組み立てることが重要です。米ドル建ての海外不動産(カンボジア)と通貨・需要構造の異なる物件(ベトナム)の組み合わせで、不確実性に強いポートフォリオを構築できます。当社では海外不動産投資のご相談を無料で承っています。
参考資料
- トランプ氏の新たな「10%関税」も違法 米貿易裁が判断(日本経済新聞 2026年5月8日)
- 米国際貿易裁、トランプ政権の通商法122条関税を違法と判断(第一生命経済研究所 2026年5月)
- トランプ関税「違法」判決でも影響は限定的か(野村ウェルスタイル)
- トランプ米大統領、IEEPA関税の停止と122条10%関税の発表(ジェトロ)
- 米通商法122条とは何か、適用は最長150日(Bloomberg)
- 2026年もトランプ関税に翻弄される世界経済(大和総研)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の購入を勧誘・推奨するものではありません。経済情勢・関税制度・統計データは記事公開時点(2026年5月13日)のものです。海外不動産投資にはカントリーリスク・為替リスク・法制度リスクがあります。関税政策・裁判所判決は今後の上訴・行政発令により変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
